自動運転による社会実装を目指す 群馬大学発ベンチャー企業「日本モビリティ株式会社」が設立
この度、2020年7月15日に、群馬大学発ベンチャー企業として、日本モビリティ株式会社(以下、日本モビリティ)を設立したことをお知らせします。
設立背景
今、日本は「はたらくクルマ」のドライバー不足が社会的問題になっています。例えば、路線バスは、年々その路線を縮小していますし、物流トラックは、ネット通販の普及による個人向け宅配の急増に対応しきれていないと言われています。こうした問題の根底にあるのは、ドライバーの担い手不足にあります。
一方で、いま世界的に自動車の自動運転技術の開発が進められています。自動運転といえば、カーナビの画面を操作するように目的地を入力したら自動的にどこでも連れて行ってくれる技術というイメージがあります。しかしながら、自家用車を買えば、あらゆる場所で確実に動作するような自動運転を実現するためには、様々な課題が山積みで、まだ遠い未来の技術といっても良い状況にあります。
そうした中で、国立大学法人群馬大学(以下、群馬大学)は、2016年12月に研究?産学連携推進機構次世代モビリティ社会実装研究センターを設立し、小木津武樹准教授(以下、小木津准教授)の統括のもと、あえて、路線バスや物流トラックなど路線が特定される運用形態に特化した自動運転技術の研究を進めてきました。
群馬大学小木津准教授の研究成果
群馬大学研究?産学連携推進機構次世代モビリティ社会実装研究センターの小木津准教授は、あらゆる場所で確実に動作する自動運転を目指すより、路線を特定したほうが単純で信頼性の高い自動運転を構築できることに目をつけ、早期に自動運転を社会実装するための研究を進めています。「自動運転技術はクルマづくりではなく街づくりだ」という考え方のもと、自動運転技術の高度化のみならず、自動運転が走りやすい街づくりとは何かを探求するべく、独自の自動運転ソフトウェアを用いて全国で実証実験を展開してきました。
2020年7月現在で、全国で延べ40事例以上の実証実験の実績は単一の自動運転ソフトウェアを用いたものでは、国内最大数となります。
こうした小木津准教授の研究成果により、全国で路線バスに対する自動運転の導入機運が高まりつつあり、更に増えつつある需要に応える体制を構築する必要がでてきました。
事業の特徴
日本モビリティは、上記の自動運転の社会実装を目指した研究開発?実証実験を実施してきた群馬大学の小木津准教授の持つ経験やノウハウを用い設立したベンチャー企業です。小木津准教授が長年蓄積してきた経験やノウハウをもとに、業界初の「無人移動サービス導入パッケージ」を構築し、自動運転の社会実装及び無人移動サービスの導入を支援します。
〇 業界初の無人移動サービス導入パッケージとは?
世界的な自動運転導入の動向を見渡すと、「公道実証実験ありき」になっているものが散見されます。単に実証実験を実施しても、イベントとしての盛り上がりはあるものの、「走行速度が遅い」「手動切り替えが多い」といったアンケート結果に終始し、継続的な導入サイクルにつながらないことがあります。
日本モビリティはこの原因を、自動運転技術をクルマづくりだと捉えているためだと考えます。自動運転の走りやすい路線を選ぶ、あるいは路線を自動運転が走りやすくするなどの街づくりを行うことによって、自動運転技術のパフォーマンスは劇的に変化します。
そこで我々は、業界で初めて無人移動サービス導入パッケージを考案しました。具体的にはまず、自動運転を走行させる路線を多角的に分析することから始めます。次に、分析結果から自動運転の導入計画を策定し、群馬大学で培った実証実験の実施スキルを活かした、最適な実証実験を展開します。実験により導入計画の妥当性が実証されれば、無人移動サービスの導入に必要なもの(自動運転車両やシステム、その他周辺の技術やサービス)を提供します。その後、地域で自律的に運用できるようになるまで支援します。これら、計画段階から実装後まで一気通貫で支援することが可能とするのは、小木津准教授が長年蓄積してきた経験やノウハウによるものです。
今後の展開
日本モビリティは、上記の無人移動サービス導入パッケージを全国に展開しつつ、提供する無人移動サービス導入パッケージの高度化、充実化を研究開発や他社との業務提携により実現し、無人移動サービスをより広く導入できる環境を整備し、自動運転技術を活用した安全?安心?快適な街づくりへ貢献することを目指します。
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