理工学府電子情報部門の張慧助教の研究がJST創発的研究支援事業の2021年度新規研究課題に採択されました!
JST創発的研究支援事業は、大学等の研究機関において独立したあるいは独立が見込まれる若手を中心とする研究者に対して、助成中の所定の審査を経て最大5,000万円の研究費を7年間支援するものです。既存の枠組みにとらわれない自由で挑戦的?融合的な研究を推進することで破壊的イノベーションにつながるシーズの創出を目指し、2020年度に開始されました。張慧助教は「計算科学とナノ微細加工技術を駆使した超高感度Siナノワイヤバイオセンサシステムの創製」という研究課題を提案し、今年度採択された生体調節研究所の佐々木伸雄教授の課題と並んで群馬大学では初めて採択されました。
この研究では、感染症の早期段階で極微量のウイルスを検出するために、シミュレーションを用いて設計した超高感度Siナノワイヤバイオセンサをナノ微細加工技術によって創製することを目指します。これまでに、理工学府の曾根逸人教授、医学系研究科の大嶋紀安助教、帝京平成大学の和泉孝志教授らとの共同研究では、電子線リソグラフィの各種条件を精密に制御することで幅16 nmのSiナノワイヤを形成して、卵白アルブミンと超低濃度の6 aM (1 aM=10-18?mol/L)に希釈した免疫グロブリンG(IgG)の特異的検出に成功しました。これは1滴(約10 μL)の溶液中に含まれる僅か36個のIgGが検出できたことに相当し、これまでに報告されたバイオセンサの中では最高感度であるため、感染症の早期診断への応用が期待され採択されたと考えられます。また張助教は、今年度理工学府に設置されたエレクトロメカニクス教育研究センターが推進するプロジェクト研究とリカレント教育にも参画していることから、今後の共同研究等への発展も期待されています。