理工学府 物質?生命理工学教育プログラム2年生の杉本俊太郎さんが、第48回炭素材料学会年会学生優秀発表賞を受賞しました
2021年12月1日?3日にオンラインにて開催された第48回炭素材料学会年会において、理工学府 分子科学部門?炭素材料電極化学研究室所属の杉本俊太郎さんが研究発表(題目:シームレス活性炭を用いたリチウム空気電池における電解液添加物効果の分析)を行い、学生優秀発表賞を受賞しました。昨年度に引き続き今年度もオンライン開催のため、発表は動画のオンデマンド方式(事前録画した動画を閲覧)でしたが、質疑応答はライブで行われました。
杉本さんの研究は、分子科学部門炭素材料電極化学研究室とアイオン株式会社との共同研究よって開発された「シームレス活性炭」電極注1)を用いたリチウム空気電池注2)に関するものです。シームレス活性炭電極はリチウム空気電池の放充電特性を飛躍的に高めます。杉本さんは、シームレス活性炭電極を用いたリチウム空気電池の特性を電解液添加剤(臭化リチウム)によってさらに改善しただけでなく、オペランド条件下注3)でX線吸収微細構造解析(XAFS)注4)を行うことで添加剤の電子状態変化と電池特性の改善との相関を明らかにしました。さらに、オペランド条件下での小角X線散乱(SAXS)測定注5)によって電極の細孔構造の変化から放電生物の析出分解過程も追跡しました。
これらの成果が今回高く評価され、受賞に至りました。今年度の学生優秀発表賞は昨年度と同様に競争率(約78件中11件)はとても厳しいものでした。杉本さんの今後のますますの活躍が期待されます。
注1)「優れた耐久性を示す“つなぎ目のない”のカーボン電極―シームレス活性炭CROUS?の実用化―」
注2)酸素を正極の活物質に用いたリチウム二次電池であり、リチウムイオン電池を大幅に上回る容量とエネルギー密度を有する次世代二次電池
注3)反応が実際に進行する条件?環境下のこと
注4)X線を用いた分析技術の一種で、注目した原子の周囲の局所的な構造や化学状態を知ることができる
注5)X線を用いた分析技術の一種で、数nm~数十nm程度の細孔ならびに微粒子のサイズならびに形状を評価できる