インスリン分泌を促進する新たな因子の発見
今回、細胞構造分野の三枝慶子 研究員(現職 群馬医療福祉大学講師)、佐藤健 教授らの研究グループと遺伝生化学分野の泉哲郎 教授、松永耕一 助教は、秋田大学医学部との共同で、血糖値を低下させる作用のある内分泌ホルモンの一種、インスリンが細胞外に分泌される際に働く新規因子としてSurf4というタンパク質を同定し、この因子が細胞内の小胞体というところからインスリンの元となる前駆体タンパク質(プロインスリン)を効率的に運び出すことがインスリンの分泌に必須であることを明らかにしました。
本研究によって、これまで不明であったインスリン前駆体であるプロインスリンの小胞体からの輸出機構の一端が明らかとなりました。Surf4はプロインスリンの小胞体からの輸出を促進することから、インスリン分泌を上昇させるこれまでとは異なるタイプの新たな創薬ターゲットとなる可能性があります。
本研究の成果は5月13日(金)(日本時間18時00分)に英国科学誌Communications Biology(Nature Publishing Group社:英国)に掲載されました。
学術的に卓越した研究内容で、大きな社会貢献が期待されることから、お知らせいたします。
概要
- 雑誌名:「Communications Biology(Nature Publishing Group社:英国)」
Volume 5, Article number: 458 (2022)(5月13日) - タイトル:”Cargo receptor Surf4 regulates endoplasmic reticulum export of proinsulin in pancreatic β-cells”
“積荷受容体Surf4は膵臓β細胞においてプロインスリンの小胞体からの輸出を制御する” - 著者名:Keiko Saegusa1,, Kohichi Matsunaga2, Miharu Maeda3, Kota Saito3, Tetsuro Izumi2, and Ken Sato1 *(*, 責任著者)