沼津市自動運転の公道実証実験におけるインシデントに関する現状報告
2020年1月22日(水)から1月31日(金)までの間実施予定だった沼津駅-沼津港間における自動運転実証実験において、下記のとおりインシデントが発生しました。
〇概要
? 発生日時:2020年1月26日(日)14時11分頃
? 発生場所:県道159号線沿い妙海寺(静岡県沼津市下河原町466-1)付近
? 発生事案:自動運転走行中、突然走行ルートから逸脱し、ハンドルが右方向に切れた。ドライバがブレーキを踏み手動に切り替え復帰。けが人等は発生していない。
〇状況分析と原因の特定
状況分析の結果、自動運転ソフトウェアは正常に動作していたものの、車両側コンピューター等の装置又は自動運転システムと車両側コンピューター等への接続に不具合があった可能性があることが判明しました。(下図参照)
また、連絡体制上の問題として、事故又はインシデント発生時における緊急連絡先及び連絡手順についてドライバと共有していたものの、本事案においては円滑に機能しませんでした。ドライバがインシデントと正常の判別が出来るよう、事前に現地にて慣熟走行(ドライバに対し自動運転バス特有の事項を教習するための走行をいう。)を実施して、正常な動作について教習していましたが、最終的な判断はドライバによる自己基準に委ねていました。そうした状況下、インシデントが発生しましたが、ドライバ及び電話で報告を受けた本学エンジニアによりインシデント事案と判断されなかったことにより、情報共有が円滑に機能しませんでした。これは、現在の仕組みが、①ドライバの判断基準のばらつきに対して考慮が不十分であること、②運行記録を便ごとではなく、日ごとにつけることとしており、運行に異常があったことを遅滞なく知ることができなく、またその内容を関係者間で共有する仕組みが不十分であることにより発生したと言えます。
〇再発防止策
本学としては、車両メーカーとともに、本不具合に関する原因特定に向けた分析と改修について引き続き検討します。また、再発防止策を講じるまでの間、e-COM10での公道での自動運転実証実験は実施しないことといたします。
また、連絡体制の改善に向け、今後の実証実験においては車種を問わず、ハンドルの目標操舵角と実舵角が一定以上離れる現象が生じた際には、自動運転システム側で「技術担当者に連絡をしてください」などのメッセージを表示させるとともに、自動運転を有効に出来ないようにする機能を付加します。こうすることで、ドライバと技術担当者がコミュニケーションをとり、技術担当者が対策を講じない限り、自動運転を有効にできない状況を作ります。本機能を実装するまでの間は、現地にて、正常?異常が判別できる人員を車両に同乗させます。さらに、運行上の異常を運行記録からも確認できるよう、ドライバに運行記録を便ごとに提出させ、また、その内容をその場で確認できる体制をとります。
〇今後の実証実験等の取扱い
自動運転ソフトウェアをはじめとした他の部分についても問題箇所がないか、改めて再確認を実施します。なお、これまでの分析結果から、本事案はe-COM10固有の箇所に起因していることから、その他の車両での実証実験については、前述の再発防止策を適用した上で、引き続き継続します。
※状況分析結果の詳細はこちら
研究?産学連携推進機構
次世代モビリティ社会実装研究センター長
太田 直哉
【本件に関する問合せ先】
研究?産学連携推進機構 次世代モビリティ社会実装研究センター
TEL:027-220-7443(平日8:30~17:15)